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【食品メーカー営業の裏話】価格ってどうやって決まるの?プロセスと用語解説!

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どうもかずーきです!!(@kazuuuuuuuukin)

割とホワイトな食品メーカーでぬるっと営業一筋なアラサーリーマンです!

本記事では製品の価格の仕組みをご紹介致します。

製造業ならではの業界的な用語も解説していきますので、

食品メーカーに入社したけど"仕組み"や"用語"がよくわからない方の参考にもなれば幸いです!



製品の店頭価格ってどうやって決まるの?

まず製品の価格ですが、小売店によって様々です。

例えば"ポテトチップス"、同じ製品でもAスーパーでは100円、Bスーパーでは90円と価格が異なることがあります。

またAスーパーの中でも日頃は100円、チラシの売り出し日には60円になったりと売り方によっても価格は変動します。

基本的に製品の価格にはメーカー希望小売価格が設定されていますが、あくまで希望なので最終的な価格設定は小売店に委ねられます。

それでは"店頭価格はどのように変動するのか"プロセスを次で解説します。

【まとめ】店頭価格は場所や時期によって全然違う!

製品が店頭に並ぶまで

食品メーカーの製品が、小売店に並ぶまでの基本的なプロセスは

食品メーカー→食品商社→小売店
という流れになります。

このプロセスは過去記事で詳しく解説しているのでそちらを参考にいただければと思います。
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3社間での価格取引によって最終的な店頭価格が変動します。

店頭価格の変動はなぜ起きる?

"店頭価格の変動はなぜ起きる?"

結論としては "取引量が多くなれば値引きも大きくなる" からです。

食品業界限らずですが、世の中っていっぱい買えば買うほどお得になりますよね?

例えば・・・

・小分けパックよりも大容量のお得サイズの方が1個あたり安い
・ゲーム機購入時に周辺機器も一緒に買ったらお得になる
・サブスクリプションで月額払いよりも年額払いの方が安くなる
などなど

そのため年間で100万円の取引があるA商社と、1000万円の取引のあるB商社があるとするとB商社の方が安く仕入れている場合が多いです。

"今月は徹底的に仕入れるから今月だけ安くしてくれないか?"

こんな感じで、お得意先との取引状況だけでなく、その時々によっても値引きが変動します。

食品業界は単価も安く、まさに"薄利多売"の世界です。

そのため他の業界に比べても価格の値動きが激しいと思います。

それでは商流に沿って用語を解説していきましょう。

【まとめ】量に応じて価格変動が起きる結果、
店頭価格も様々になる!

食品メーカーから食品商社へ

まず食品メーカーと食品商社との取引にまつわる仕組みと用語を解説します。

製品価格の基準"仕切価格"

取引量による価格変動が激しいため、メーカーは製品の基準価格となる"仕切価格"を設定します。

例として・・・

A食品の"プレミアム塩チップス"は仕切価格60円と仮定します。

そしてA食品の営業担当者が"塩チップス"をB商社と商談します。

以下商談の会話例

"プレミアム塩チップス"という製品が発売されます!味も好評で売れると思うので仕入れて頂きCチェーンに売り込んでもらえませんか??

いやいや60円じゃ高いよ!販売条件ないの?

で、では10,000個仕入れて頂ければ10円の条件を出します・・・!

”販売条件”とは仕切価格からの値引きです。
(未収条件ともいいます)

上記の内容はともあれ(笑)会話通りで商談成立したとしましょう!

"NET価格"とは

"仕切価格"60円の"プレミアム塩チップス"が10円の"販売条件"で10,000個成立。

ということは

¥60(仕切価格) - ¥10(販売条件) = ¥50
となり、¥50を"NET価格"といいます。

(卸NETとも呼ばれる)

これが食品メーカーの純粋な売上金額になります!

【まとめ】仕切価格:メーカーの基準価格
販売条件:値引金額
NET価格:仕切価格 - 販売条件

【ややこい】代金回収は仕切価格

B商社からは売上金として¥50×10,000個分をもらうんだよね?

違うんです!売上金としては仕切価格である¥60×10,000個分をもらって、販売(未収)条件の¥10を後からメーカーが振り込むんです!汗

は?

ここからが超ややこしいポイントです。

まずA食品は"プレミアム塩チップス"の代金として仕切価格である"¥60×10,000個"をB商社から回収します。

その後、B商社から販売(未収)条件である"¥10×10,000個"が後日A食品に請求され、支払いをします。

何でそんなまわりくどいの?

と思います。私も新入社員の時はこの仕組みに疑問を抱いていました。

しかしA食品とB商社の間には"プレミアム塩チップス"以外にも膨大な種類の製品と、異なった値引きが取引されています。

そのため一見煩雑に見えますが、

まずは基準である仕切価格で代金のやり取りを行い、その後に一括で販売(未収)条件を支払う

という仕組みが効率的であり基本的な商習慣になっています。

(即引という仕組みもあり、全てがこの仕組みというわけではありません)


食品商社から小売業へ

続いて食品商社と小売業の取引にまつわる仕組みと用語を解説します。

"納品価格"とは

引き続き"プレミアム塩チップス"を例にします。

A食品とB商社はNET価格¥50で10,000個で商談が一旦成立しました。

その後、B商社は小売業であるCチェーンの仕入れ担当者(バイヤー)と商談します。

B商社が仮に15%の粗利益を取るとする場合、約¥59で小売業に納品価格(納価・原価)を提示します。

【計算方法】¥50 ÷ 0.85 = ¥58.82... 

この時、B商社とCチェーンの商談時、A食品も同席するパターンもあります。

A食品が"プレミアム塩チップス"の製品説明をして、B商社が見積もりを提出します。

商談においてCチェーンが

『プレミアム塩チップス59円じゃ買わん!』

となった場合、A食品とB商社はもう一回価格を検討しなければなりません・・。

A食品がさらに販売条件を出しNET価格を下げたり、B商社が15%ではなく12%の粗利設定にしたりと、ここもシビアな交渉になります。
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の記事でも書きましたが、この3社の中で食品メーカーは最も低い(お金をもらう)立場にあるので、結構辛いです。笑

【最終】 "店頭価格"決定まで!

ここまで色々ありましたが最終的に"プレミアム塩チップス"がCチェーンに¥59の納品価格で無事に成立したとします。

Cチェーンは¥59で仕入れ、最終的な店頭価格を決定します。

先ほどと計算方法は同じで粗利益30%と設定した場合、店頭価格は約¥84です。

【計算方法】¥59 ÷ 0.7 = ¥84.28... 

このような商談プロセスを経て店頭価格が決定します。

【まとめ】納品価格:食品商社がNET価格に粗利を乗せて小売業に提出する価格

卸マージン率:食品商社の粗利率

店頭価格:小売業が納品価格に粗利を乗せた後の価格

小売マージン率:小売業の粗利率

まとめ

このようなプロセスにより、最終的な店頭価格が決定します。

ざっくりまとめると

メーカーのNET価格、食品商社や小売業の粗利率によって店頭価格が左右される

ということです。

そのため販売力のある(=仕入量の多い)小売業は店頭価格も他と比べて安くなり、競争力に差が出てくるというわけです。

補足ですが、あくまで加工食品のプロセスで、「青果・鮮魚・精肉」やお惣菜などは仕組みがまた全然違います。

小さいスーパーでも「青果・鮮魚・精肉」は強い仕入れルートがあって、大手スーパーよりも"新鮮で安い"なんてこともザラにあります。

激戦の中、今生き残っている小売業は何かしらの負けない強みを持っていると思います。

店頭で価格や鮮度を比べてみると面白いかもしれませんね!

また、例とした"プレミアム塩チップス"にまつわる価格や粗利設定ですが、あくまで例として適当に書いておりますのでご了承くださいませ。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!関連記事も是非ご覧ください!
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